たくあん漬けpickled-radish
ある日、沢庵和尚は、徳川家光に「和尚、余は近頃何を食べても、
味がなくて困る。なにか口に合うものがあれば食べさせてくれ。」と求められました。
「それはおやすい御用でございます。明日午前10時ごろ、拙僧のところへおいでください。
もっとも当日は、私が主人で殿は客、わがままを言われても困ります。それだけはご承知ください。
また、どんな用があってもご中座されません様お願い申し上げます。」と答えました。
家光は喜んで帰っていき、翌日家光は沢庵のところへやってきました。 時は、12月下旬、夜明けごろ降り出した雪で一面の銀世界でありました。
沢庵は家光を茶室に案内し、「しばらくお待ちを。」と引き下がってしまいます。
ところが待てど暮らせど一向に和尚は出てこない。
朝の10時から待たせておいて、昼になっても現れない。3時になっても現れない。
家光が腹が減って目が回りそうになった頃、
和尚が出てきて、「遅刻致し恐れ入ります。沢庵手製の料理、何卒ご賞味ください。」
と、御膳を差し出しました…。
お膳を見ると、黄色いものが二切れ皿に乗り、椀が添えてあるばかり、
他には何もない。
椀の蓋をとってみたが、中には飯が入っており、湯がさしてありました。
それでも家光は腹が減ってたまらない。
「和尚、馳走になるぞ。」と大急ぎで椀を抱え込み、カツカツと食べ出しました。
「おかわり。」
家光はようやく腹が一杯になったとみえて、やっと箸を置きました。
そして、「時に、和尚。この黄色いものは一体何であるか。」と問うと、
「それは大根の糠づけでございます。」と沢庵は答えました。
「ほほう。」と、家光がすっかり感心してしまった時、沢庵はおもむろに姿勢を正してこう言いました。
「上様は征夷大将軍という御位、人間の富貴この上なく、されば結構なるものを毎日お膳に供えて、それに口がなれて旨味がございませぬ。
つまり口が贅沢になっているからでございます。故に今日、空腹待ち、かような粗食を差し上げたのでございます。」
上様は怒りもなく、「美味じゃ。」とのこと。
「以後、空腹になるのを待ってお食事されるとよろしゅうございます。」
とそれとなく将軍を戒めました。
後日、家光は沢庵を招き、貯え漬けならぬ「たくあん漬け」として一般にもこれを貯えさせました。
たくあん漬は、沢庵和尚が考案されたと伝えられています。
宗鏡寺では、地元の子供たちと一緒に、沢庵和尚伝承の製法で、たくあん漬を作っております。
沢庵和尚夢見の会にて、減農薬の原材料と科学調味料無添加の
沢庵寺のたくあん漬®を予約販売しております。
沢庵和尚夢見の会とは、宗鏡寺(沢庵寺)の来訪者を増やし、地域の活性化を図るため、
コンサートなどのイベント開催・運営や、たくあん漬の製造・販売など、さまざまな活動をしている団体です。